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電子書籍中の数学

電子書籍(ebook)は教育現場、とりわけ数学教育での需要が高まり、出版業界、電子書籍普及団体、読書システム供給元と協力し、数学表記が正しく処理されるよう取り組む必要性が生じました。

EPUBの中の数式

EPUB(イーパブ)の規格はIDPF(国際デジタル出版フォーラム)が発行しています。他にも電子書籍の規格はありますが、EPUBはそれがオープンな非独占的な基準であることから、多くの支持を得ているように思われます。現にEPUBは複数の基準を統合しているので、書籍ごとの多様な面も許容しています。数式についてはコンテンツのフォーマットのみが論点と言えますが、EPUB 2においてはコンテンツのための二種類の異なったフォーマット、すなわちXHTML(Extensible HyperText Markup Language)とDAISY(Digital Accessible Information System)を受け入れていました。しかし狭義のEPUBフォーマットという時、ほとんどは(DAISYではなく)XHTMLを指していました。DAISYはMathMLをサポートしており、抜きん出てた数学のサポート力を備えてはいるものの、ここではEPUBにおける変種のフォーマットとして述べるに留めておきます。

仕様:EPUBの中の数式のベスト・プラクティス

コンテンツの供給元と読書システムの開発者に向け、EPUB電子書籍で数式を処理する最善の方法のガイダンスを行うために「EPUBMath: Best Practices for Mathematics in Ebooks (EPUBの数学:電子書籍中の数学のためのベスト・プラクティス)」と題するものを作成しました。EPUB規格は複雑で、ほとんどの読書システムは、その機能の全てを実装していません。最終的に欠けている機能の実装は、読書システムの供給元が行うとしても、優先順位は特定の書籍や書籍の集合体をサポートするのに必要な機能に応じて設定されます。これこそが打破すべき鶏と卵の状況を生んでもいるのです。
このベスト・プラクティスの文書は、EPUB諸機能の特定の使用を含むEPUB書籍中の数式を表す方法を推奨するものです。ここで述べんとしているのは、以下の目標と制約の内に収めることです:

  • EPUB規格に準拠し、それを拡張するのではなく、その内で動作させる。新機能と改善点の追加は、将来的には関与せざるをえなくなる可能性はあるものの、現在の努力を活かすため、現在の標準バージョンで動作させたい。
  • 数式は多種多様のデバイスとズームレベルで、明確に表示されるようにスケーラブルにすべき。
  • 各数式は周囲のテキスト(ベースラインの配置)との位置合わせを行い、フォントサイズやズームレベルが変更される場合でも、そのアライメントを維持しなくてはならない。
  • 読書システムがOSのクリップボードに数式をコピーできるようにし、ユーザーが他のアプリケーションでも数学に取り組めるようすべき。
  • 数式がスクリーンリーダーと電子書籍の読書システムを使っている人にアクセシブルであるべき。障害を持つ人に満たされた読書体験を提供するDAISY書籍のみならず、すべての教育における電子書籍でアクセシビリティは重要事項だから。
  • 数学ベースの検索に、数式が使用可能であるべき。

同社が提案するソリューションには、SVG(Scalable Vector Graphics)をサポートしていない読書システムに、ラスターイメージ(GIF、PNG)での代替のみならず、数学的な意味と構造、SVGのベクター画像を表示できるMathMLを組み込むことが含まれます。

EPUB書籍のサンプル

次のEPUB書籍のサンプルは「EPUBMath: Best Practices for Mathematics in Ebooks (EPUBの数学:電子書籍中の数学のためのベスト・プラクティス)」で述べられた仕様に従って構築されています。これは読書システムをテストするのに用いることができ、なおかつワークフローを実装しようとする発行者にも有益です:

  • EPUBMath Sample Book (.epubfile): この書籍には一個のインラインの数式、一個の表示式、わずかなテキストが含まれています。

  • On Optimal Bit Allocation for Classification-Based Source-Dependent Transform Coding (.epubfile): Hindawi 出版から出されているEPUBサンプルのひとつの中にあるバージョンをアレンジしたものです。

システム・コンプライアンスを読む

EPUBMath: Best Practices for Mathematics in Ebooks(EPUBの数学:電子書籍中の数学のためのベストプラクティス)」には、読書システムの適合性を評価するのに必要な条件のチェックリストが含まれています。この文書の執筆時点で、唯一Adobe Digital Editions が、この要件を満たしています。EPUB規格のコンプライアンスに完全準拠するのに必要なことから、ほとんどの読書システム供給元が、すぐにSVGおよび埋め込みフォントのサポートを追加することを約束したため、この状況はすぐに変わるだろうことを期待しています。
理論的にBookwormやBookGluttonのようなブラウザベースの電子書籍リーダーは、FirefoxおよびInternet Explorer&MathPlayerのようなMathML対応機能を持つブラウザで開いた時、MathMLをEPUB書籍にレンダリングすることができるはずです。しかし現時点では実現していません。ブラウザベースの電子書籍リーダーEPUBファイルをそれらの基準で解析し、そうすることでMathMLのブラウザのレンダリングの必要条件を除外します。(例えば、ブラウザベースの電子書籍リーダー中にはEPUBファイルをHTMLとして提供するものがあります。)MathMLを含む、HTML5基準を採用したブラウザは、この状況を改善する必要があります。MathMLのサポートは「EPUBMath: Best Practices for Mathematics in Ebooks(EPUBの数学:電子書籍中の数学のためのベスト・プラクティス)」のコンプライアンスへと一歩前進することになります。

電子辞書コンプライアンス

EPUBブック内に存在する数式の数を報告し、それが同社流のベスト・プラクティスの仕様に合致しているかを確認できるようEPUBチェックツールを拡張したいと考えています。この記事の執筆時点では、この作業は開始されていません。

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